英検準1級をS-CBT(Typing)で受験しましたので感想
去年の英検2級に続いて、今年は英検準1級をS-CBT(Typing)で受験・合格しました🈴。CBT試験の特徴なんかとともに感想を記録しておきます。試験内容の対策とかはおこがましくて書けないのですが、S-CBT試験について詳しく書きます。
S-CBTって何?
英検S-CBTは、試験の方式の違いで昔からある英検(従来型)と違ってパソコンを使ってやる試験です。受験方式が違うだけで、資格としては同じものになります。合格したあとの資格証明としては同じです。
S-CBT方式は、パソコンを使って、スピーキングは録音、リスニングはヘッドホン、リーディングも画面上という違いがあります。
ライティングに関してはS-CBTの中で2パターンのS-CBT(筆記型)、S-CBT(タイピング型)に分かれていて、タイピング型はキーボードで英文を入力します。筆記型は従来型と同じよう解答用紙に手書きします。
そしてこれらの4技能の試験を1日で全部やります。
以前はS-CBT(筆記型)とCBT(タイピング型)という区分だったのですが、最近はS-CBTに統一してS-CBTの中で筆記型とタイピング型に分けるようになりました。
まとめると、英検はこんな感じに3つに分類できます。従来型・S-CBT(タイピング)・S-CBT(筆記)の3つになります。
S-CBT方式のメリット、デメリット
S-CBTは手書きしなくていい!ヘッドホンでリスニングが聞けるという大きなメリットもあるのですが、デメリットもあります。その点について書いていきます。
試験日程
従来型でいうところの1次、2次試験を1日で終えられるのはメリットでもありデメリットでもあります。
万全の準備で合格の自信満々の人にとっては、1回で済ませちゃったほうが楽ですよね。一括で勉強するのがボリューム的につらいという人は従来型のほうが良いと思います。従来型の1次突破をまず目指し1次試験終了後にスピーキング対策をするという分業ができるのは、従来型の大きなメリットです。
私はS-CBTの申し込み後、勉強をしながら「1日で全部なんて無理〜!従来型にすれば良かった〜」と思ってましたが、試験終了後は「あー1回で終わるのは、なんて晴れ晴れするんだ〜やっぱりS-CBTでよかった」と手のひら返してました。
S-CBTは試験の実施順が違います。
まずヘッドセットをつけてスピーキングを最初に行います。その後ヘッドセット装着のままリスニングを行い、最後にリーディングとライティングになります。(この2つは同じ時間枠で行われます)S-CBTの筆記型はリーディングの開始前に解答用紙の準備が始まるためタイピング型の人は少し待たされます。この間少し休息ができます。
採点
S-CBTは、1次、2次という区分けがなく、必ず全部採点されます。
従来型では1次試験を突破しないと2次試験は受験できませんので採点されませんが、S-CBTの場合は必ずスピーキングをやるので落ちたとしても実力を知ることができます。このあたりはS-CBTのメリットともいえるでしょう。
CSEスコアでいうと、同じ不合格であっても従来型の1次で落ちた人よりも、S-CBTはスピーキングの採点が加わるぶんCSEスコアが高くなるんじゃないでしょうか(詳細不明)。落ちた上でCSEスコアの良し悪しを評価するのもあまり意味がないと思うのですが、企業の評価や受験では意味が生まれてくるかもしれません。
ただし合格判定については従来型と同じです。1次試験相当の「リーディング」、「リスニング」、「ライティング」で合格しないと、スピーキングの合否判定はされないとQAに書いてあります(CSEスコアは出る)
実施回数
S-CBTは会場にもよりますが実施回数が多いです。毎週土日開催しています。最低でも月に1回は受けられるみたいです。
毎週やっていると言っても、「よ〜し来週受けてくるか」と突発的な受講ができるわけではなく、だいたい2ヶ月前くらいに申し込みが締め切られているので、いつもやってる=いつでも受けられる ではないです。ある程度準備してから2ヶ月先に受けるつもりで申し込まなければなりません。
こんなに頻繁にやっているのならば、受けまくればいいのでは?という気になりますが、1開催で受験できる回数に制限があるので、全部受験することはできません。
それと、S-CBTでは、4級、5級、1級はありません。4,5級は子供も多いのでパソコンサポートも大変という理由かなという気がします。(スタッフが圧倒的に少ない)1級は面接のチェックレベルが違うのか、問題が間に合ってないのか、まあ別格ですし仕方ないですよね。
会場
比較的小規模な会場です。場所によると思うのですが、私の場合は貸し会議室をこの日だけ借りている感じでした。
公式サイトの会場の写真をみると、すごくきれいなテストセンターですが、私の受験会場はここまで立派じゃなかったです。
ロッカーとかもないし、衣料系福袋みたいな大袋に、すべての持ち物を入れてロックされました。持ち物のチェックは、通常の試験よりも厳しいんじゃないでしょうか。スマートかどうかに関わらず腕時計は外す。ポケットの中の鍵も禁止。消しゴムのMONOとか書いてるカバーも外して裸の状態の消しゴムを使うように指示されました。(ただ私は全く筆記用具使ってないし、メモ用紙も使ってないです)
パソコンは私の場合は15インチくらいの大きめのノートパソコンでした。
ヘッドセットはオーバーヘッドのわりとしっかりとしたヘッドセットで、ノイズキャンセリングかどうかはわかりませんが、周りのスピーキングが聞こえるものの外音はけっこう防げると思いました。従来型試験のオーディオプレイヤーで全員が同じスピーカーから聞くのに比べたらずっと聞きやすいと思います。パソコン側から音量も調整可能ですので音が小さいとかいうのは皆無です。
リスニング
リスニングは、S-CBTはPC操作により音声が流れてヘッドセットが使用されます。音量も調整可能です。音を聞き取るにはヘッドセットでしっかり聞けるのはメリットがあると思います。
一方で問題文や解答をパソコン画面上で見ることになるため、解答の選択肢を先読みするというテクニックが使いづらいです。操作そのものはマウスで行うため、難しいものではないのですが、設問ごとに別のページを開くような操作をするため、俯瞰して全体を見ることができません。現在の設問に対する選択肢の先読みはできますが、早めに解答して次の選択肢を見ておくというのは、紙に比べるとやりにくかったです。
リスニング問題のときには、画面での書き込み・マーキング機能は使えないです。例えば選択肢の注目したい単語に線を引くとかはできません。
どのような画面操作になるのかは、こちらの公式youtubeを見ると雰囲気がつかめると思います。
環境に影響されにくいヘッドセットが使えるものの、選択肢の先読み表示がイマイチというデメリットがあります。
私の場合は記憶力がなくて、もともと先読みをしようとしてもあまり役立たないので、そこまで問題ではなかったです。目の前の1問の選択肢だけ集中して読んだほうが合ってました。
リーディング
リーディングもパソコン画面になるため、長文の表示にスクロールが必要になったり、サッと書き込みをしたりすることができないです。長文問題のときにはマーカーで線を引いたりする機能が使えるようになります。紙に手で下線をひいたりするよりは直感的ではないです。
語彙問題のパート1はCBTにデメリットは少ないと思いますが、長文問題は読みにくいので、S-CBTのデメリットと思って良いと思います。
ライティング
ライティングはS-CBTのタイピング型を選んだ場合に大きなメリットがあります。キーボードで文字を書いたり消したりできるため、タイピングに慣れている人はすごく時間短縮になります。コピー&ペーストで編集することも用意です。
さらに画面には語数も表示されるので、120字以上書くという条件に対して常に確認しながら書けます。編集が高速にできるので、文章を推敲することに時間を注げる点は大きなメリットかと思います。
私はリーディングで時間を消費してしまうので、ライティングを先にやって時間を節約して、その節約分をリーディングの回答に回してました。参考書の時間配分例ではライティングの配分が25分程度と書いてありましたが、私は15分以内で書いてました。
リーディングからやってしまうと大事なライティングで時間がなくなる可能性があったのでライティングからやってました。時間が足りなくなったりした場合、リーディングは最悪、選択肢を埋めることができますが、ライティングは適当に埋められません。
先にライティングを済ませたときに間違って試験全体を終了提出しないようにだけ注意しましょう。
筆記型は従来型と同じなのでタイピングが苦手な人はこちらをえらぶといいでしょう。
スピーキング
S-CBTのスピーキングは対面の面接官ではなく、画面に表示される動画を観てからマイクで回答します。リモート通話ではなく完全に動画です。その質問に対して返答を録音するという方法になります。録音には制限時間があります。
人間相手でないことから緊張が軽減されるのですが、頑張って回答しているというような表情・心情的なアピールは通用しません。制限時間でバッサリ切られるという焦りも感じます。
こちらの目を見て真剣に聞いている人に向かって話すのと、マイクに向かって録音するというのはメンタル的な話しやすさが段違いです。。必ず機械相手に練習しておいたほうがいいと思います。
そうはいっても、従来型の面接形式では部屋にノックして入って「失礼します」とか、そういう儀式的な手続きが私は苦手なので、それが一切ないのは助かります。
また、質問が聞き取れなかった場合に「もう一度聞いてやりなおす」ボタンを押すことでもう一度聞き直すことができます。
従来型の面接でも聞き直しはできますが、ボタン1つでいいのと、恐る恐るCould you repeat it again? とか口頭でお願いするのでは、その後の焦りが違うと思います。
ボタンは2回まで使用できるようなので、時間稼ぎのために2回使う前提で回答を考えながら聞き直すというテクニックがあります。2級のときに私も使ってみたのですが、今回準1級を受験したときには " ボタンを使用することで減点の対象になることもある " といった感じの記述があるのに気づきました。実際減点されるのか不明ですが、本当に必要なときのみ使ったほうがいいと思います。(準1級では1回だけボタンを使ったかも)
これも初めびっくりするのですが、スピーキングは会場の受験者が一斉にパソコンの前で話し始めます。他の受験者の声が少し聞こえるなかで自分もスピーキングしなければなりません。ヘッドセットがわりとしっかりしているのでウルサイということはないですが、知らずに受験するとびっくりすると思います。自分の回答だけに集中するように気をつけてください。ちなみに違う級の人も同時に受けてるようです。
一斉に話し始めるのですが、音声チェックなどをスキップするタイミングや聞き直しボタンによって、タイミングがバラバラになります。これで他の受験者とタイミングをずらすことができるのですが、最後に自分ひとりだけ残ってスピーキングの発声しているのも恥ずかしかったりします。
S-CBTのスピーキング試験をVERSANTのような音声認識のAIをつかった採点と勘違いしている人を見かけたのですが、そういったものではないです。
さすがにAIでの採点では従来型と条件が違いすぎるため同じ資格にできないかと思います。単に録音した音声を聞いて人間が採点するだけで、採点方法・採点基準については従来型とS-CBTでは違いはないはずです。(だから同じ資格になる)
しいて言えば、対面でのアティテュード判断が、録音データのアティテュード判断と同等なのか?という疑問がありますが、そのあたりもスピーキングだけで判断するように判定基準があるはずかと思います。
いろんな面接官がいて、面接官によって採点基準がバラバラではいけないので、どう判定するかの既定があるはずです。スピーキングテストですから、視覚に頼らず音声情報だけで判断するように規定してるのではないでしょうか。
問題文は持ち帰れない
S-CBTはパソコンで受けるので問題文が配布されず持ち帰ることができません。メモ用紙も回収されるので一切持ち帰ることができません。自分の記憶だけです。
このため自己採点ができません。従来型の場合は問題文に自分の解答をメモしておけば、終わってから自己採点ができるわけですが、それができないのはヤキモキします。 ただし英検の場合、自己採点になにがメリットがあるかというと早く途中結果を知れるだけで、それによって大学受験のように志望校を変えるとか、合格のために行動を変えられるわけではないので、合格を目的としたメリットはないです。(2次試験を諦めるということはできるかもですが)
S-CBT試験の実施回数は多いことから、問題を使いまわしているんじゃないかと予想します。コンピュータを使った試験である方法として、受験者それぞれで出題が違うという方式です。たくさんストックされた問題のなかからランダムにピックアップされて各受験者に出題されるのかもです(想像ですが)。このへんは同時に友人と受験してみて、出題が同じだったか情報がほしいところです。
結果発表までの期間
最終的な合否判定までの期間でいうと、従来型の1次試験→1次結果発表→2次試験→2次試験結果発表の期間(約1.5ヶ月)よりも、S-CBT試験→結果発表の方がすこし早いです。(約1ヶ月)
まとめ
長文になってしまいましたが、全部まとめるとこんな感じです。